ルークとイライジャという兄弟の物語、ルークがマケドニアで見た事行った事の物語、1900年初頭の物語、
ー を、2000年に年老いたアンジェラが青年エッジに語りかける話。エッジがアンジェラの物語を、
自分の言葉で語り繋ぐ話です。
1900年初頭のマケドニア ― オスマントルコからの革命の真っ最中で、その指導者の首にかけられた賞金目当て
の武装集団と、トルコ軍と、革命軍との間での陰惨で激しい戦乱の地であった ― と、
2000年のニューヨーク ― 多人種の混じった、そして決してマイノリティに優しい訳ではない ― という二つの場所の、
その時間と空間のへだたりが交差しながら話が進みます。
1900年代の方は、場所のせいか時代のせいかキャラクターのせいか、その全部でなのかとても殺伐としています。
戦乱のマケドニアの中の荒んだ闘いは、いいようのない喪失感を見る側に与えます。
ロクでなしでキレやすくって、でも銃の腕だけはいい、賞金稼ぎのルークをデイヴィッド・ウェンハムが、その弟で
やや繊細で内気なイライジャをジョゼフ・ファインズが演じています。
この二人の描かれ方がいいです。荒んですりきれてるところとか、時代に取り残されようとしている19世紀人の部分とか。
そして1900年の方を、アンジェラ、もしくはエッジが「物語る」ので、ルークやイライジャ自身のセリフ、というのは案外少ないのです。少ないのだけれど、ものすごく印象的なやりとりだったり言葉ではない部分 ― 表情や、しぐさや、行動で彼らが描かれていて素晴らしかったです。
とにかく、「ものがたりを語る」話です。兄弟の相克とか、マケドニアでの軍による村の虐殺とかいろいろあるのですが、一番はこれ。
語り手が真実を語っているにしても、その真実のどこまでが事実なのか聞き手には分からない。
この物語の一番最初の語り手である(おそらく)イライジャはすでに亡くなっています。そしてアンジェラも
先のない老人であり、またアンジェラの物語は未完に終わってしまいます。
そしてそこからアンジェラの物語を引き継いでルークを起こすのがエッジ。(このエッジにルークが起こされるシーンが
私は一番好きかもしれない)
エッジが語った結末が正しかったのかどうかは分かりません。途中までの語り手であったアンジェラの
物語が正しいという保証はなく、そもそも、イライジャの話すら、正しくルークのものがたりを伝えているとは
限らないのです。
しかしエッジが繋げた物語は、マケドニアに向かう飛行機の中で隣席した女性に伝えられ、物語は閉ざされずに繋がっていく事を
暗示して終わっています。いろいろと物語ると言うことに関して考えさせられる映画でした。
この映画でのデイヴィッド演ずるルークはとても魅力的です。決して「良い人」じゃないし、普通の「ヒーロー」
でもないんだけれど、悪擦れしてどうしようもない男の、そのどうしようもなさすら愛しく思えるような、
そんなキャラクターを演じていて良かったです。予告編のあおり文句から、もっと兄弟間の相克が出るかな? と思ったら
自分的にはそれほどでもありませんでしたが、なんというか「兄弟という呪縛」みたいな部分は出ていて良かったです。
小さい頃の守護者と被守護者という関係が、長じたのちにも微妙に影響しあっているような所とか、
兄弟だからこその憎しみや憤りと、それに徹しきれない情愛や絆といった所がツボでした。
日本公式サイト:
http://www.shochiku.co.jp/dust/ トレイラー、ストーリー紹介、キャストプロフィールなどあり。2004年秋ごろ閉鎖(確認したのは2004年11月30日)
イタリア公式サイト?:
http://www.medusa.it/dust/ 伊版トレイラーあり。
イタリアFandangoサイト:
http://www.fandango.it/default.asp?idcontenuto=446 キャスト・シノプシスなど。
監督サイト:
http://www.manchevski.com.mk/ シナリオのダウンロード、Dustに関する記事の集積あり。
USトレイラー:
http://videodetective.com/home.asp?x=y&SpeedTestResults=144000&PublishedID
=158047&AltID=&CustomerID=97135&WM=False&Ads=True&Play=TRUE
アーカイブサイトにあったトレイラー。これは本当にDUSTのトレイラーなのだろうかというちょっと編集に問題ありなウェスタン・トレイラー
AUトレイラー:http://www.madman.com.au/actions/trailer.do?method=view&videogramId=688
Madman screen room
US版
リージョン1。英語・スペイン語字幕つき。5分ほどのメイキングが入っています。マンチェフスキー監督が、映画について、
語るという形で、合間合間に、映画本編の映像、撮影途中の映像が、入り、間にルークのコスチュームでのデイヴィッドインタビュー、この映画と監督について語るシーンが入っています。
喋っている内容は、日本公式サイトのプロダクションノートに書かれているのと重なっているものがありました(とまったく同じではありませんが)
”デイヴィッドはこれまでに私が出会った最高の俳優の一人”と言っている監督が見られて嬉しい・・・Amazon.comにて購入
AU版 リージョン4 特典は劇場トレイラー2本、キャスト・クルーバイオグラフィー、Madoman Cinemaのトレイラー5本、:未購入
Madmanのサイトで取り扱い