The Boy from Aus.

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Bank

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原題:The Bank/2001年オーストラリア
日本未公開
監督・脚本 ロバート・コノリー
出演 デイヴィッド・ウェナム;アンソニー・ラパグリア ;シビラ・バッド;その他
IMDb:http://www.imdb.com/title/tt0241223/






配役

Jim Doyle役




感想


主人公は天才的な数学者、ジム・ドイル。フラクタル・カオス理論に基づいた、株式相場の変動予測プログラム (BTSE:Bank Trading Simulation Experiment)を開発し、実際の運用とその開発を進められるよう、大銀行、センタバンクへプログラムと自分を売り込みます。 そもそものジムの理念自体は、こうした予測プログラムによって、株式相場の暴落を予測し、それを回避することで、 一般の投資家たちの保護ができるだろうといった理想主義的なもの。いきなりランチ・プレゼンテーション時に、 レストランのテーブルクロスに、数式を書き出して説明し始めるなど、ちょっと世慣れない所ありすぎ。 (その割には、センタバンクに勤める行員のミッシェルさんとあっと言う間にいい仲になったりと、 やることはやるタイプなのか(^^;))

そして大銀行、センタバンクは、最高経営責任者にサイモン・オライリーを据え、とにかく利益追従、 そのためにはあこぎなまねをするのも辞さない、といった姿勢。
銀行の株式売買システムを開発中だったプロジェクトチームにジムを迎え入れ、独占的な(多分) 株式予測プログラム連動型株式売買システムを開発させようとします。

開発はまずまず順調に進んでいきますが、BTSEを使い、銀行だけのために市場に介入すれば、市場へ壊滅的な打撃を与えてしまうと忠告するジムと、 、そんな甘ったるい事を言ってるんじゃない。経済とか経営とかはそういうもんじゃない、歴史に名を残すようなでっかい事をやるんだ(意訳(^^;))とほとんど力任せに押し切り、銀行の利益をがっちり上げたいサイモンとの理念の差は埋まる事はありません。

一方で、センタバンクの強引な融資による破産者たちからの訴訟が相次ぎ、とりわけ、ハイリスク・ハイリターンの外貨ローンのため、破産、またその差し押さえの通知の際に子供を失ったディヴィス夫妻の訴訟は、その悲劇性とあいまってマスコミにも注目され、銀行にとっては一大スキャンダル。銀行がこの訴訟に負ければ、続く破産者たちからの訴訟にも負け、株式売買システムで大儲けどころの騒ぎではなくなるといった事態になります。

とうとうBTSEが完成した、その日、ジムはサイモンに、次の10月に市場で大暴落が起きる。この時に、 資金を運用すれば、莫大な儲けが出る、と今までの理想主義はどこへ行ったか、というような発言をし、 サイモンに、BTSEを使って株式売買をするよう誘います。

ジムは変節したのか? 彼の真意はどこにあるのか? 裁判の行方は? 銀行とジムの行く先はどこか? ミッシェルとジムの恋の行方は? といった最後まで見る目を逸らさせない、サスペンスです。 


デイヴィッド演ずるジムはとても、カッコイイです! 。そしてちょっぴり翳あり、ちょっぴりはかなげ(あっ(^^;))な所がかなりツボにはまっています。ラストに向かってどんどんジムの表情から目が離せなくなっていきます。 序盤で見せる表情と終盤で見せる表情の落差がすごいです。普通の笑顔も見せますが、決定的な場面での、冷たい薄い微笑みがなんともいえず、シビレがくるほどカッコイイです。

最終的にジムが選んだ道は、ジムに関わる人たちにとって、結局かなり重いものになりました。
銀行の中にもいる善き人、開発プロジェクトリーダーで、ジムを喜んで迎え入れたヴィンセントや、個々人の銀行の利用者と関わっている恋人のミッシェルの存在を認識しながらも、しかし、結局銀行の方針を決める立場にあるのは、サイモンのような、個人を省みない、利益というある種の化け物とも言える数字を中心に見る人間なのだ、 という諦念に押されてした決定のようにも思えます。

BTSEの最大運用の直前、準備万端整えられて後はスイッチ一つ押すだけ、という時に、ヴィンセントに、 「この時を待っていたんだろう?」と言われて「そうだ」と答えるジム。その時に重なる映像の重さとあいまって、その表情がなんともいえない緊迫感がありました。
(しかし、結局の所「ジム・ドイル」とは何者だったのか、分からないままなんだよな〜)

デイヴィッド演ずるジムと相対するサイモンを演じたアンソニー・ラパグリアの尊大さや、威圧感も、 破綻して何もかも失った、市井の人、デイヴィス氏を演じたスティーブ・ロジャースの存在感も、 良かったです。
しかし携帯持って、パソコンの前に座ってるデイヴィッドがなんだか違和感・・何故だ(笑) 現代の話なのに現代の話っぽい感じがしないような気がするからだろうか・・何故だろう(笑) 革ジャン姿、ばりっとスーツを決める姿、とオン・オフのデイヴィッド、それからアヤシゲな発音の日本語も ときどき聞けるなど、(友だちのプログラマーが日本人という設定。その友だちと英語日本語ちゃんぽんで喋っている。)いろんなデイヴィッドを堪能できます(^^;)

初出:雑記帳、03/09/10。改稿、04/02/13





関連サイト:


公式サイト:http://cinemaguild.com/thebank/mainMovieFrame.html トレイラー、フォトギャラリー、Bank Bookの紹介、レビュー、クレジットなど。ファラミア以外の映画での彼ってどんな感じ? と言われた時に、つい薦めてしまうトレイラー。何せジム=デイヴィッドがカッコイイですから(^^)
イタリアFandangoサイト:
http://www.fandango.it/default.asp?idContenuto=428 キャスト・シノプシスなど。






関連記事:





購入情報:

DVD
cover

US版
リージョン1。字幕なし。特典はトレイラー、キャストプロフィール、監督のコメンタリー、ストーリーボード・シークエンス(コメンタリつき):Amazon.caで購入






cover

AU版
リージョンALL 、PAL方式。字幕なし。特典はトレイラー、TVスポット、監督のコメンタリー、サウンド・デザイン、制作、視覚効果等についてのインタビュー、写真集:Bank book企画について、削除されたシーン、ストーリーボード・シークエンス(コメンタリつき)、IF&AFIawardの映像、監督によるショート・フィルム2編。:EzyDVDで購入。

cover

FR版 リージョン2。詳細不明。未購入

cover

DE版
リージョン2。ドイツ語字幕、ドイツ語吹き替えあり。公式サイトにあるフォトギャラリーが収録

IT版 リージョン2。PAL方式。イタリア語字幕、吹き替え。特典はトレイラー、メイキングなど。未購入。

cover

AU版
THREE DOLLARS / THE BANK / THE BOYS 5disc Box set

DVDジャケットは独版と豪版が大体同じで、後はそれぞれ違います。仏版には、シビラさんのカットも入ってて他のとは雰囲気がちょっと違う感じ。 ジャケット上のあおり文句も国それぞれ。 しかし、仏版と独版が13ユーロも値段が違うのは何故だろう・・・





サントラ
cover

:同封の冊子に、作曲者のnote、映画からのスティールと、シナリオからの一部セリフまわしが載っていて、ちょっとお得な気分になれました。:HMVオーストラリアで購入。



Book

Bank Book 写真集。映画撮影中に、4人の写真家が、映画を創る過程のいろいろ写真を 撮ったもの。舞台裏をのぞかせてもらう、という感じのもの。 あの、トレーダー室のセットを外側から撮った写真、カメラをまわしている監督、化粧直しをしてもらってるデイヴィッド、打ち上げパーティらしい写真、他ちょっと芸術写真風味のものもありました。 :Angus&Robertsonで購入。


04/02/13
04/04/04:The Bank FR版情報、DE版情報追加
04/04/30アマゾンアソシエイトプログラム参加につきジャケット画像追加。IT版情報追加
2005/Sep/20サントラ情報その他変更追加・レイアウト変更
2006/Feb/21ボックスセット情報追加

2007/Jan/15レイアウト変更